5. 内閣府景気ウォッチャー調査
V 内閣府景気ウォッチャー調査
10月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差13.4ポイント上昇の55.5となった。家計動向関連DIは、飲食関連等が上昇したことから上昇した。企業動向関連DIは、非製造業等が上昇したことから上昇した。雇用関連DIについては、上昇した。
10月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差0.9ポイント上昇の57.5となった。企業動向関連DIが低下したものの、家計動向関連DI、雇用関連DIが上昇した。なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差12.9ポイント上昇の56.2となり、先行き判断DIは前月差1.6ポイント上昇の58.3となった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、緩やかに持ち直している。先行きについては、コスト上昇等や内外の感染症の動向を懸念しつつも、ワクチン接種の進展等によって持ち直しが続くとみている。」とまとめられる。
※地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。
2.物流・購買・調達・サプライチェーン関連記事抜粋:
令和3年10月1日~10月31日:①~⑥に用語解説を加えた。
主題 | 概要 | |
1 | 中国製の旅客機:4割海外依存 | 年内にも初納入 エンジンなど部品:米中対立、輸出に影 |
2 | 三井物産、豪で燃料アンモニア生産開始 | 生産時のCO2地中に 1000億円投資:燃料用、日本に100万トン |
3 | 経済再開;世界でエネ逼迫 | 冬の電力不安定化も 天然ガス:在庫減、石炭:中国、平時の15%減 |
4 | 製造業「調達遅れ」7割弱 | 変異型流行;サプライチェーンに影響 在庫の積み増し急ぐ |
5 | 全空調、脱レアアース;ダイキン工業、調達リスク回避 | 希土類の産出地が偏在する地政学的リスクに対応する |
6 | 利益14兆円分に課税の網 | デジタル企業など対象に OECD 具体策課題 |
7 | 日本製鉄、トヨタを提訴 | 中国・宝山も鋼板特許侵害で 電動車、製販差し止め請求 |
8 | サプライチェーン;強制労働排除へ | G7貿易相声明;ウイグル念頭。日本には人権に特化した輸出入管理の法令や規制がない |
9 | 食品にも供給制約の影 | 鶏肉・ワイン・エビなど輸入に支障 東南アジア生産停滞;海上輸送に遅れ |
10 | 三菱電機、工場あって会社なし | 品質不正で調査報告書 丸投げ本社に不信感 |
11 | Facebook 高成長に黄信号 | 内部告発、経営に圧力 アップル社個人情報保護強化で広告事業の成長鈍化 |
≪用語解説:記事内の用語を確認しましょう≫
中国製の旅客機:4割海外依存 |
中国旅客機メーカー、中国商用飛機(COMAC)によるジェット機の国産化が進んでいる。米欧の大手に対抗する本格機種の試験が大詰めを迎えており、早ければ年内にも初号機を顧客へ引き渡す。ただ旅客機の核を担う部品やシステムは約4割を海外勢に依存する。米中対立などの政治リスクを抱えるなか、海外輸出もハードルが高くなっている。 |

燃料アンモニア |
アンモニアは燃やしても二酸化炭素を排出しないことから、現在、発電の燃料として使われている石炭や天然ガスと置き換えることで、大幅な二酸化炭素の排出削減が期待されている。従来アンモニアは化石燃料を原料にして製造されてきたが、近年では太陽光などの再生可能エネルギーを用いて製造する試みもなされている。もしこれが実用化できれば、アンモニアはカーボンフリーの燃料になり得る。NOxと未燃アンモニア削減の実現へ向けた地道な研究にめどが立ち始め、燃料として期待されるアンモニア。水素と比較して輸送・貯蔵しやすいことが挙げられるが、注意すべきは劇物という点で、高濃度のものは人体に影響を及ぼすので徹底管理が必要だ。その意味でも、アンモニア備蓄設備を備えた大規模な工場、発電所などでの活用に向いている。脱炭素の切り札とも言える二つの燃料は、例えば、これから実用化へ大きく動きだすアンモニアが大型施設向け、既に水素ステーションなどが広がりつつある水素が一般消費者向けというように適材適所に使い分けされていくのが理想形だ。 |
製造業「調達遅れ」7割弱 |
世界中に張り巡らされたサプライチェーンに異変が起きている。「社長100人アンケート」で製造業の7割弱が部品・部材の調達に遅れが生じていると答えた。感染力の高い新型コロナの変異ウイルスの流行による取引先の減産などが響く。企業は在庫の積み増しなどの対応を急ぐが、解消時期を見通せず長期化しそうだ。 【関連記事】国内景気に足踏み感、「横ばい」63% 社長100人に聞く:製造業の8割が国内または海外の工場で「生産活動や部品調達に影響が出ている」と答えた。 |

※CPSM受験用・内外作検討:調達しないという選択肢もある事例 ④全空調、脱レアアース;ダイキン、調達リスク回避 25年度までに |
ダイキン工業は2025年度までに、空調機器でレアアース(希土類、総合2面きょうのことば)の使用をほぼゼロにする。レアアースは電気自動車(EV)や風力発電機向けに需要が増え、コスト増が懸念される。産出地が中国などに偏り安定して調達できるか地政学リスクもつきまとう。トヨタ自動車なども同様の取り組みを進めており、脱レアアース技術の実用化で日本企業が先行してきた。ダイキンはモーターの開発から生産まで一貫して手掛ける。空調機器に年間600万個使うモーターに組み込む磁石にジスプロシウムやネオジムといったレアアースを使っている。耐熱性が高まり高速回転しても性能が落ちない。 レアアース抜きのモーターのコストは既存の製品と同等以下に抑える。製造原価がレアアースの調達価格の変動を受けにくくなるため、ダイキンにとっては収益を安定させられる利点がある。 |
利益14兆円分に課税の網 |
経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む136カ国・地域が8日最終合意したデジタル課税は2023年の導入をめざす。OECDは年間約1250億ドル(約14兆円)の利益に対する課税の権利を世界に配分できると見積もる。グローバルな巨大企業による「富の寡占」の是正へカジを切る歴史的合意だが、狙い通りに税逃れを封じられるか、具体策を巡っては課題も残っている。デジタル課税は、店舗など物理的な拠点が国内にない企業でも、その企業のサービスの利用者がいれば税当局が法人税を課税できる仕組み。約100年前に定めた工場や店舗などの物理的拠点を課税の根拠にする国際課税の原則を転換する。合意の背景には、GAFAなど米巨大IT企業が巨額の利益を上げているにもかかわらず、利用者がいる国や地域が課税できないとの不満の高まりがある。 |

EU、サプライチェーンの強制労働リスクに対処するガイダンスを発表 |
欧州委員会と欧州対外行動庁(EEAS)は7月13日、EU企業が事業活動とサプライチェーンの管理において強制労働に関与するリスクに対処するためのデューデリジェンス・ガイダンス文書を発表した。ガイダンス文書は、企業がバリューチェーンからの強制労働の根絶に取り組む上での実践的アドバイスをまとめたもの。欧州委は2021年2月に発表した通商戦略の中で、バリューチェーンの持続可能性を柱の1つに位置付けている。欧州委は、人権デューデリジェンスを含む持続可能な企業統治の法案準備を進めているが、法令の実施までには時間を要することが予想される。本ガイダンスはそれまでの間、企業にデューデリジェンス実施の上での非拘束の指針を提供するものだ。 ガイダンスではまず、強制労働に対処する上では、一切の妥協を許さない「ゼロ・トレランス」が原則となることを確認。その上で、強制労働のリスク要因を、(1)カントリーリスク要因、(2)移民(出稼ぎ)および非公式な労働に伴うリスク要因、(3)債務に関するリスク要因、の3つの観点に整理してリスト化している。該当する要素が自社のサプライチェーンにおいて特定される場合、企業はより詳細なデューデリジェンスの評価を実施することが推奨される。 |