2021年11月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 60.8%

October 2021 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders, Production, & Employment Growing 新規注文、生産、雇用は全て増加
  • Supplier Deliveries Slowing at Faster Rate; Backlog Growing サプライヤー出荷は急速な遅れ;受注残は増加している
  • Manufacturing Inventories Growing; Customers’ Inventories Too Low製造業在庫増加;顧客在庫過少
  • Prices Increasing, Exports Growing and Imports Contracting価格上昇;輸出好調、輸入低調

【解説】

米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した10月の米製造業景況感指数は60.8と前月から0.3ポイント低下した。3カ月ぶりの低下だが下げ幅は小さく、良好な景況感が持続した。市場予測(60.3程度)も上回った。産業分野別では、16産業が景気拡大を示し、縮小したのは木製品産業と非金属鉱産物産業のみだった。個別指数は「新規受注」が59.8で6.9ポイント低下し、「生産」も59.3で0.1ポイント下がったが、いずれも堅調さを維持した。供給制約が続いており「入荷遅延」は75.6で2.2ポイント上昇した。「雇用」は52.0で1.8ポイント上向いたが、人手不足も続いており、離職や退職を懸念する企業の声が相次いだ。また「価格」は85.7で4.5ポイント上昇した。ISMは、アルミニウム、鉄、銅、梱包資材、電子部品、エネルギー、一部プラスチック、貨物などが不足し価格が高騰していると指摘。「価格」は11カ月連続で70を超えており、物価上昇圧力が緩む兆しはみられなかった。

回答企業は「グローバルな供給制約が続いており、中国から入手するのはほぼ不可能な状態だ」(コンピューター・電子製品)や「ビジネスは強さを増しているが、供給網の問題が日々悪化している」(化学製品)などと報告した。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品景気は益々堅調だが、サプライチェーンは日々悪化している。
2Transportation Equipment 輸送機械好調な販売が続くも、当社は、半導体チップを利益率の高い車両に転用し、低利益率の車両の生産計画を停止又は制限した。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草輸入コストと納期遅延が景気を打撃し、不確実性により多くの安全在庫を必要としている。中国での計画停電は、引き続き出荷を一層打ちのめした。
4Fabricated Metal Products 金属加工製品国内の相手先ブランド供給(OEM)の設備投資支出は、当社事業で増加傾向にある。第4四半期には、寿命が10年を越える資本設備が増加するだろう。
5Computer & Electronic Products コンピューター・電子製品グローバルなサプライチェーンの問題は続き、中国から何かを入手することはほぼ不可能で、極端な遅れが発生する。マイクロチップとサーキットブレーカーの供給不足は続いており、2022年まで続くと予想される。
6Plastics・Rubber Products プラスチック・ゴム製品私の予測では、2022年は2021年と非常に似ている。それは、需要が似ており、供給が制限され、物流が制限され、インフレが横行するということだ。
7Furniture & Related Products家具・関連商品受注は爽快に好調で、景気は引き続き堅調だ。当社は、労働力、資材、貨物が不足しているため、需要主導型よりも供給主導型になっている。原価は全面的に増加し続け、顧客向けに今年三回目の値上げを検討しているところだ。
8Electrical Equipment, Appliances & Components 電気機器、電化製品、関連部品需要は引き続き堅調だが、サプライチェーンの問題、つまり物流遅延、サプライヤーの能力と労働力の問題で引き続き抑制されている。
9Machinery 一般機械顧客の需要は依然、高い。 新型コロナウイルス関連のサプライチェーンの問題は、依然、当社の需要を満たす能力を妨げている。当社のサプライヤーが労働力を獲得するのは依然、困難で、人件費は上昇している。
10Miscellaneous Manufacturing その他の製造当社の製品需要は引き続き堅調だが、製造ラインを稼働させるに十分な原材料を確保するため日々戦っている状態だ。