3.おわりに:
東京五輪が閉幕したが、心の中ではオリンピック開催に疑念を持っていた筆者もメダルの多さに驚き拍手していた。そしてスポーツの偉大さに敬服した。
そこで感じたのは、インタビューする側、つまりインタビュアーの姿勢だ。インタビュー取材とは、書きたい記事の素材となる情報を、如何に相手から引き出せるかが重要であり、インタビュー自体は、30分程度で短かいためインタビュアー(聞き手)は限られた時間内で情報を集める役目がある。事前準備は欠かせないため相手に「もっと話しを聞いて欲しい」と思われるような話の聞き方ができるようになれば一流だ。つまり話し手が話し易かったと言わしめたらしめたものという訳だ。
筆者もインタビューされることがあるので、逆に色々考えさせられることがあったので以下に述べたい:
1)相手に「自分の話をキチンと聞いてくれている」と思ってもらうためには何をすべきか。
2)相手の失態を敢えて聞き出すこと。これは主に優勝者へのインタビューの場合だ。相手は嬉しさのあまり泣いたり、又は、逆にうきうきして何も話せない状態が多い。例えば、ゴルフ優勝者に対して、あの12番ホールのOBは何故ですか。また、何故、最終ホールでダフッたのですか。17番でのスリーパットの原因は?など。つまり、相手が嬉しさを忘れて平常心に戻るから話しやすいのだ。
3)相撲や野球、サッカーの勝者にも通じるだろう。「二日目に三回もマッタしたのは何故か?」「今日は前半に三振が多かったのは何故か?」「終了5分前に何故突然走り出したのか?」
また、「ええ」「はい」など、短い言葉でも相槌があるのとないのとでは印象が変わる。しかし、この相槌も使い方によっては相手にマイナスの印象を与えることもある。例えば、「なるほど」や「わかります」は、多用し過ぎると、かえって不快に思う人もいるからだ。長い時間をかけて開発した商品の思いについて、「分かります」と一言言われたら……「お前に何が分かるんだ!」と言ってしまう人の言い分は何となく理解できる。相手に不快な思いをさせてしまうと、その後のインタビューは険悪なムードになってしまう。
最後に気をつけたいのが「リアクション」。「リアクション」とは、反応のことで、相手の話を聞いて、きちんとそれに対して反応を示す。これは話を聞く上で大切なことだ。それは、自分が「少し大袈裟だな」と思うくらいが丁度良いかも知れない。相手の立場にたって話が聞けるようになると、喜怒哀楽の表情を豊かになり、感情移入もし易くなるからだ。
インタビューに慣れていない人は、家族や友人を取材相手と見立てて練習してみることを勧めたい。自分が普段は気づかない「癖」に気づくからだ。
十人十色の取材相手がいる現代では、その対応も相手によって臨機応変に変えた方が良いでしょう。
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月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA
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