景気動向指数 2109

3. ユーロ圏景況感指数

IHSマークイットが1日発表した8月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は61.4と前月から低下したものの高水準を維持した。速報値の61.5から下方改定された。前月は62.8だった。新型コロナウイルスの影響で引き続きサプライチェーンが圧迫され、原材料の価格が供給不足により上昇していることが明らかになった。コロナ対応の制限措置が緩和され需要が強まったが、多くの企業は物流の問題や製品・労働力不足を報告している。生産指数は59.0と7月の61.1から低下した。チーフ・ビジネス・エコノミストは「8月もユーロ圏の製造業の生産は堅調だった」と述べ、生産指数が14カ月連続で拡大と縮小の分かれ目となる50を上回ったと指摘した。「だが最も重要な点はやはり部品の不足だ。部品業者は十分な量を生産できないか、需要を満たすための輸送能力が不足している」と分析した。材料と輸送能力の不足が続いているため価格が上昇。投入価格指数は87.0と7月の89.2を下回ったが、依然として高水準にとどまっている。この結果、製品価格も大幅に上昇した。それでも需要はなお底堅く、企業が雇用を増やし完成品在庫を減らす一方で、受注残が増えていることも明らかになった。

※民間企業であるマークイット社が発表するユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)とは,景気転換の先行指標であり,製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとに指数化したもの。数値が前回より上回った場合,対象国の通貨は買われやすくなる。ESI(欧州委員会景況感指数)は企業や消費者のマインドを表し,国内総生産(GDP)と似た動きを示す代表的な景気指標である。同指数は50が活動拡大と縮小の分かれ目。