3.おわりに
在日ロシア通商代表部の職員に渡す意図を隠して無人戦闘車両などに関する文献を不正に入手したとして、神奈川県の無職の容疑者が電子計算機使用詐欺容疑で逮捕された事件で、この職員が12日午前、ロシアに向けて出国した。県警は、職員が容疑者と共謀して文献を不正に入手したとみて、外務省を通じてロシア側に任意の出頭を求めていた。
この容疑者は2019年7~12月、職員と共謀し、データベースサービス提供法人のシステムに会員登録して、文献8点を入手した疑いがある。文献は半導体の研究開発にかかわる先端技術や無人戦闘車両に関するもので、宮坂容疑者は「約30年にわたって約15人のロシア人に軍事、科学技術関係の資料を渡し、対価として1千万円以上を受け取った」と供述していた。
この記事を読み、またか!と思った人は多いだろう。
① 黒羽・ウドヴィン事件
② チェルヌィーフ事件
③ ボガチョンコフ事件
④ シェルコノゴフ事件
⑤ サベリエフ事件
ここで言いたいのは、日本の警察が如何に外国人、または海外要人や大使館員に対して弱腰かということだ。単に言語の問題ではなく白人恐怖症が若い日本人の間にも浸透していることに懸念を覚える。例えば、交通違反しても、片言の日本語で見逃されるのはしばしばで在京外国人の間では認識が共通しているようだ。逆の場合、日本人が海外で交通違反したら確実に逮捕されるが、我が国は、この点でもガラパコス化している。但し、上述のスパイ事件でも関与した日本人には手厳しい。外務省も「猛烈に抗議した」と繰り返すだけで結果を発表しない、つまり正式な抗議をしていない訳だ。
五輪が近づいているが同じようなことが怒らないことを祈るものの、日本の警察や外務省、文科省の役人達が数万人とも言われている海外要人、家族、報道関係者、観光団の来日を前にして法令に遵守して日本を守ることができるのだろうか。外国人観光客に対しては、法律よりも倫理観、エチケットが問題ではなかろうか。
もう一つ同じような事件、事故がある。ゴーン逃亡劇だ、被告の住む東京自宅から関西空港まで約480キロの移動から始まり、コンサート機材を運ぶ大型の黒い箱に身を潜め、待機していたプライベートジェットに積み込まれ、わざわざ黒い箱の底に呼吸ができるように複数の穴がドリルで開けられていたと言う。この逃亡計画は、数カ月前から詳細が詰められ、組織された十数人の所謂、日本脱出逃亡プロジェクトチームは、日本を20回訪れたうえ、少なくとも10の空港を視察し、最終的に関西空港の警備が脆弱だと判断した。しかし、関空の広報担当者は、警備体制は他の国内空港と変わらず、エックス線検査に掛けられない大型荷物は、全て職員が開けて中身を確認する決まりだと述べている。だが空港警備に詳しい専門家らによれば、プライベートジェットの利用者はテロのリスクが低いと見做され、その手順は必ずしも守られていない。
国土交通省 赤羽一嘉大臣は、プライベートジェットが一般の商用機のような不特定多数の旅客の安全性確保が求められているものではないことから、機長が必要性ありと判断した場合に限り保安検査を実施しているという現状がある上で、羽田空港、成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港の4空港にあるプライベートジェット専用施設では、大きな荷物全部の保安検査を義務化することとし、1月6日から実施していると説明したが、時すでに遅し。
日本流の「再発防止する」という名文句で煙にまかれる訳だ。
前述のロシア大使館職員の事件に戻すと、外国人2名が来て英語で大声を出すと保安検査官は恐れをなして縮こまる(ちぢこまる)のが目に見えるようだ。大きな箱を開けるのが面倒くさいのは理由にならないが、検査官が数万円のチップをもらっていたとなると話は違ってくる。関空はアフリカか!途上国では空港検査で札束を握らされる職員が多いのは聞いたこともあるし現実に見たこともある。なんと日本人をバカにしているか、恐らく20回の日本訪問中に被告と話し合いが行われていたが、被告からも、日産で長年日本人社員と仕事をしてきた記憶から日本人はちょろいと思われ、プロジェクトチームへ伝えたのだろう。
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月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA 特定非営利活動法人 日本サプライマネジメント協会