景気動向指数 2021.07

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 60.6%

June 2021 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders, & Production Growing; Employment Contracting 新規注文、生産は増加;雇用は収縮
  • Supplier Deliveries Slowing at Slower Rate; Backlog Growing サプライヤー出荷は緩慢な遅れ;受注残は増加している
  • Raw Materials Inventories Growing ; Customers’ Inventories Too Low原料在庫増加;顧客在庫過少
  • Prices Increasing; Exports and Imports Growing 価格上昇;輸出入増加

米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した6月の米製造業景況感指数は60.6%で、前月から0.6ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で市場予測(61.0程度)をわずかに下回った。18の対象産業のうち17産業が拡大しており、ISMは「製造業と米景気の力強い拡大は続いている」とした。供給制約が解消されず、企業や供給業者が強い需要に応えられない状況が続いているとも指摘した。「入荷遅延」は前月から3.7ポイント低下したものの、75.1と依然高かった。「価格」は4.1ポイント上昇の92.1となり、1979年7月以来の高さとなった。ISMは「あらゆる原材料と中間財が、生産不足や需給力学の影響で値上がりしている」と指摘した。また労働力確保の難しさを映して「雇用」は49.9と1.0ポイン低下し、7カ月ぶりに縮小圏となった。圧倒的多数の企業が採用しようとしているものの、ポジションを埋められず、賃金を理由に転職が起きていると指摘する声が相次いだ。ISMは「生産網全体で、労働者不足が引き続き深刻な障害となっている」と述べた。金属分野の企業は「生産能力以上に売れ続けている。労働力不足でどうにもならない」と伝えた。一方、家具製造業者は「増え続ける受注に追いつかない。一時的にシフト追加を計画しているが、木材不足などで実現しないかもしれない」と報告した。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品全事業単位に亘って引き続き非常に強い需要が見られる。原材料の入手可能性により供給能力が制限される場合が多い。依然記録的な数量がでているが、より多くを生産している可能性がある。例え必要な全原料を入手できたとしても、当社の生産施設の多くで能力容量の課題が発生する。また人的資源も懸念されている。
2Transportation Equipment 輸送機械堅調な販売が続いており、生産量は100%だ。新型コロナウイルス疫病の制限は殆ど解除された。世界規模の半導体チップ割り当てにより、一部の機能提供が制限され続けている。チップ不足の影響を受ける対象を制限するため生産日程が更新されたばかりだ。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草鶏肉の需要が非常に強いため、家禽市場は一層高くなっている。より高いコストが顧客に転嫁され始めた。
4Fabricated Metal Products 金属加工製品需要は引き続き堅調で、顧客の注文傾向は長期的需要を含むべく移行している。世界的サプライチェーン課題により、顧客は現在、2021年第4四半期と2022年第1四半期の発注を準備している。
5Electrical Equipment, Appliances & Components 電気機器、電化製品、部品価格上昇、インフレ傾向、可用労働力不足は、サプライチェーン内の全組織に衝撃を与えつつある。  
6Petroleum & Coal Products 石油・石炭製品今月報告する大きな懸念や活動は特にない。石油価格は着実に上昇し続け、当社経営陣は資本予算が適切な金額に設定されていると確信している。精力的な石油市場の理由で延期や解約することを恐れず既に計画されているプロジェクトを進める。
7Computer & Electronic Products コンピューター・電子製品機械から電子製品までのサプライチェーン制約は、可用性と物流の両側面から引き続き困難な状態だ。需要と供給の不均衡による材料へのインフレ圧力。電子部品は圧倒的に最大の課題で、納期は16週間から52週間以上に伸びている。処理装置プロセッサーは、重大な不足であり、部材を変更するプリント回路基板組み立てを再設計するため24時間年中無休で作業することになっている。多くの場合、当社の購買注文の対象範囲を12か月に延長し、供給保証のため解約不可、返品不可(NCNR)の条件を課している。
8Nonmetallic Mineral Products非金属鉱物製品供給寸断は続き、終わりが見えない!
9Furniture & Related Products家具・関連商品材料の入手可能性・変動性と価格上昇を除けば、当社の見通しは良好だ。注文増に対応できず、一時的に二番交替を追加するa second shift to be added temporarily必要のプロジェクトがある。しかしながら木材製品などの資材の入手可能性が引き続き問題であるなら、これも不可能になるだろう。
10Primary Metals 一次金属現在当社が生産可能なもの全てに基づき売り過ぎ状態が続いている。労働力不足が当社を殺している。
11Machinery 一般機械顧客需要は底堅い。サプライチェーン問題は、材料の可用性を妨げ、生産日程計画に影響を与える。材料費、人件費、輸送費の増加によりサプライヤー会社のコストは上昇続けている。