2024年8月報告

4. 中国の製造業景況感

財新/S&Pグローバルが1日発表した7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.8と、昨年10月以来の低水準を記録し、景況拡大・縮小の分かれ目となる50を9カ月ぶりに割り込んだ。6月の51.8から低下し、市場予想の51.5も下回った。新規受注が減少した。今年下半期の経済成長に対するリスクを示す内容となった。

財新の調査では、7月は新規受注が1年ぶりに減少したことを受けて生産が9カ月ぶりの低い伸びにとどまった。回答者は需要低迷や顧客の予算削減を理由に挙げた。新規受注は主に投資財と中間財で減少した一方、消費財ではやや拡大した。中国は先週、消費押し上げに向け、1兆元の超長期特別国債のうち約1500億元(207億4000万ドル)を中古の家電製品や自動車、電動自転車などの買い替え補助に充てる方針を示した。新規受注は全体的に低調だったものの、輸出受注は7月も増加した。ただ拡大ペースは前月からやや鈍化した。シティリサーチは、製造業全体が「厳しい夏」に突入しつつある可能性を指摘した。7月の鉱工業生産は6月の前年比5.3%から4.8%へ伸びが鈍化し、生産者物価指数(PPI)は下落が続いた可能性があるとした。

財新智庫のシニアエコノミストは「最も顕著な問題は、依然として不十分な国内有効需要と市場の楽観姿勢の弱さだ」とし、成長を安定させる政策努力が必要だと述べた。購買活動は昨年10月以来の縮小となり、購買品在庫が減少した。一方、出荷の遅れの影響もあって完成品在庫は増加した。競争激化を背景に販売価格を下げる企業も見られた。投入コストの上昇は和らいだ。雇用は11カ月連続で縮小。製造業の今後1年の景況感は前月から改善した。

中国国家統計局PMIは製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに調査する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。
PMI(中国製造業購買担当者景気指数)
全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。
2009年設立の財新/S&Pグローバルの月例まとめ
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