4. 中国の製造業景況感
財新/S&Pグローバルが5日発表した10月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は52.0と、前月の50.3から上昇し、3カ月ぶりの高水準となった。政府の刺激策が景況改善に奏功していることを示す初期の兆候が出始めている。中国国家統計局が先週発表した10月の非製造業PMIも50.2と、景況拡大・縮小の分かれ目となる50を上回っていた。
財新の統計では新規受注が52.1と前月の51.0から上昇。ただ、海外からの新規受注の伸びは鈍化した。新規受注の増加を受けて受注残が増え、雇用が2カ月連続で拡大した。
投入価格の上昇は3カ月ぶりのペースに減速したが、企業は依然として原材料費やエネルギーコストの上昇に苦慮している。
全体的な景況感は5カ月ぶりの水準に改善し、一部企業は今後1年の売り上げ拡大を後押しするため販促活動を強化した。
製造業とサービス部門を合わせた総合PMIは51.9となり、9月の50.3から上昇した。
財新智庫のシニアエコノミストは「政府の2024年成長目標達成は個人消費の持続的な回復にかかっている。このため政策措置は家計の可処分所得を増やすことに焦点を当てるべきだ」と述べた。
中国国家統計局PMIは製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに調査する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。 |
PMI(中国製造業購買担当者景気指数) |
全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。 |
2009年設立の財新/S&Pグローバルの月例まとめ |
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