6.編集後記
WPSという団体を初めて知った。これは、平和・安全保障の文脈に「女性」を関連付けたWPS(Women, Peace and Security)に関する2000年の安保理決議1325号が採択されたものと聞く。詳細を見ると、この決議は、紛争において女性や女児が男性や男児とは異なる影響を受けていることを認識すると伴に、女性を平和・安全保障の主体者としても認識し、紛争予防や平和維持活動等の全ての段階において女性の平等で十全な参画を要請したものとある。日本の防衛省も、これまで女性活躍の推進を図り様々な取り組みを進めると伴に国連平和維持活動や大規模災害対応に取り組む主体として、WPS分野で国際的な活動を推進してきたが、グローバル水準には達していないと筆者は見ている。

新政権石破氏は、防衛省・自衛隊に関する知識が豊富であり、同省幹部曰く;WPSに関する取組をより一層意識的に実施し、WPS行動計画に資するとともに、国際社会の平和と安定に貢献しいくと話した。
一方で、米国は、不安定性、紛争、記録的なレベルの避難民、武装した非国家主体、大国間競争などを特徴とする複雑な世界の安全保障環境に直面している。2019年の「女性、平和、安全保障に関する米国の戦略(WPS)」は、女性のニーズと視点を積極的に統合し、国際平和、安全保障、繁栄に関するあらゆるレベルの意思決定プロセスに女性が有意義に参加できるようにすることで、日本の外交政策と支援活動の効果を全面的に向上させることに焦点を当てていた。2017年の女性・平和・安全法(Women, Peace, and Security Act of 2017)の成立により、米国は世界で初めて女性・平和・安全(WPS)に関する包括的な法律を有する国となった。米国政府はまた、2019年の「女性、平和、安全保障に関する米国戦略」と2020年の「国務省実施計画」を発表し、紛争予防、平和促進、暴力的過激主義への対抗の取り組みにおけるジェンダーの平等と公平の促進という米国の優先事項を強化した。グローバル女性問題担当長官室は、国務省のWPS努力の主要調整機関としての役割を果たすことを誇りに思い、政策、外交、パートナーシップ、モデル転換を通じて、「女性、平和、安全保障」アジェンダの推進における米国の世界的リーダーシップを強化する独自の立場にあるとした。
WPS 戦略の実施は、女性の経済的安全保障、ジェンダーに基づく暴力の防止と対応など、日本の外務省全体のジェンダー平等・公平の取り組みと表裏一体なのだが、日本国における現状は甚だ心もとない。政治家や経済人は常に声を大にしてダイバーシティを叫ぶが、サプライチェーンにおける多様性にも気を配ってもらいたいものだ。先日、初の女性総裁が誕生していれば期待が持てたかも知れないが、かなり先になりそうだ。

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月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA
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