2023年4月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 46.3%

March 2023 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders and Production Contracting

新規注文と生産は縮小傾向

  • Backlogs Contracting

受注残は縮小基調

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速基調

  • Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫は縮小;顧客在庫過少

  • Prices Decreasing; Exports and Imports Contracting

価格は下降基調;輸出・輸入は縮小

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した3月の米製造業景況感指数は前月から1.4ポイント低い46.3だった。好不況の節目である50を5カ月連続で下回った。新規受注や雇用環境を示す指数が低迷しており、米国の製造業は依然として弱含みの状態だ。全体の指数は2月に前月比プラスに転じたが、3月は悪化した。項目別で特に低下が目立ったのが新規受注で、前月より2.7ポイント下がり44.3となった。調査対象の企業からは「事業は低迷しており、顧客の注文は新型コロナウイルス下より前の水準に戻っていない」(衣料・革製品)との声が上がった。英キャピタル・エコノミクスの分析によると、過去60年で景気後退を伴わずに同水準まで低下したのは1990年代半ばの1回だけ。同氏は「景気後退の領域に極めて近い水準に下がった」と指摘する。雇用環境を映す指数も2.2ポイント低下し46.9となった。生産は0.5ポイント上昇と上向いたものの、47.8で水準は依然として節目の50を割り込んでいる。新規輸出受注は2.3ポイント、輸入は2.0ポイントそれぞれ下がっており、世界経済の低迷を映す結果となった。3月10日に米地銀のシリコンバレーバンク(SVB)が破綻したのを機に、中小銀行の信用不安が強まっている。調査対象の企業からは銀行破綻の影響を懸念する声は聞かれなかったが、先のキャピタル・エコノミクス曰く 「内需の伸びが急激に弱まるとの見方は強まっている」。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品売り上げが少し落ち込み、節減を重視して予算を削減している。
2Transportation Equipment 輸送機械売上高が益々減速することによって、予想よりも速い歩調で受注残を消化することができる。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草事業は全般的に順調で、投入コストは一部の分野で低下し、他の分野では上昇している。
4Machinery 一般機械リードタイムは依然改善しつつあるも、価格は引き続きインフレ圧力に直面している。鉄鋼・鉄鋼製品の価格は若干上昇し、油圧部品は依然、納期延長に直面している。当社は、ウクライナで進行中の戦争と中国からの脅威による世界的な不確実性により、輸入在庫水準を増やしている。
5Computer & Electronic Products         コンピューター・電子製品注文と生産は毎月横這い状態だ。リードタイムは殆どの分野で安定しているため、長過ぎる納期の一部の戦略的な電子部材を除いて、新規注文を減らすことを検討している。
6Miscellaneous Manufacturing その他の製造全体として2021-22年よりも、2023 年第 1 四半期の方が安定しているように感じる。顧客需要は、期待どおり順調に伸び、全体的な供給環境は過去二年間より遥かに良い状態だ。これは、課題がないということではなく、絶対にあるのだ。但し、毎週発生する問題は少なく、供給課題は一般に、新型コロナウイルス疫病流行前に経験した「典型的な」問題に一層似ている。当社は、世界の銀行の状況を注意深く監視しているが、現時点では衝撃はなく、予想もされていない。進行する米中間の緊張は、注目すべきもう一つの課題だ。
7Fabricated Metal Products 金属加工製品全体として、当社の第1四半期は計画より順調に進み、売上高は、予算 4.5%に対し約 7% 増加している。しかし、販売台数は、当社事業の大部分を占める自動車OEM側を引き下げている。当社の第2四半期は厳しいと思うが、良い見通しは維持している。
8Primary Metals   一次金属全体として、景気は依然好調だ。一部の間接資材に関しサプライチェーンの問題がまだ残っている。
9Electrical Equipment, Appliances & Components     電気機器・器具・部品新規注文は軟化し始め、サプライヤー出荷は僅かに改善している。これは、当社の受注残を減らし、一部の品目で緩衝のようなものを構築することに繋がっている。特に電子機器におけるサプライチェーン寸断は、新型コロナウイルス疫病流行前と比較し依然深刻な状態だ。
10Apparel, Leather & Allied Products    衣料・皮革・関連商品景気は、まだ全体的に遅く低迷しており、顧客の注文は新型コロナウイルス下より前の水準に戻っていない。