2022年6月報告

3. ユーロ圏景況感指数

S&Pグローバルが1日発表した5月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は54.6と2020年11月以来の低水準となった。供給不足、価格上昇、需要低下が足かせとなった。総合指数に反映される生産指数は50.7から51.3へ上昇した。チーフ・ビジネス・エコノミストからは、経済見通しの不透明感が高まる中、ユーロ圏の製造業は供給不足、インフレ圧力の高まり、需要の低下などの逆風を受けていると分析した。需要がサービスにシフトしていることも製造業を圧迫していると述べた。S&Pグローバルは、経済が再開され消費者は休暇やレクリエーションを楽しんでいると指摘した。サプライチェーンはウクライナ戦争によって打撃を受けている。原材料コストが上昇しており、企業が一部を消費者に転嫁した結果、需要の低下を招いた。新規受注が約2年ぶりに減少した主な要因は、供給不足と価格圧力であり、エネルギー価格が急上昇し、多くの商品、原材料の価格が再び上昇しているとエコノミストは述べた。

※民間企業であるマークイット社が発表するユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)とは,景気転換の先行指標であり,製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとに指数化したもの。数値が前回より上回った場合,対象国の通貨は買われやすくなる。ESI(欧州委員会景況感指数)は企業や消費者のマインドを表し,国内総生産(GDP)と似た動きを示す代表的な景気指標である。同指数は50が活動拡大と縮小の分かれ目。