5. 内閣府景気ウォッチャー調査
3月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差10.1ポイント上昇の47.8となった。家計動向関連DIは、飲食関連等が上昇したことから上昇した。企業動向関連DIは、非製造業等が上昇したことから上昇した。雇用関連DIについては、上昇した。3月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差5.7ポイント上昇の50.1となった。家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIが上昇した。
なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差12.3ポイント上昇の48.9となり、先行き判断DIは前月差1.9ポイント上昇の48.4となった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、ワクチン接種の進展等もあり、感染症の動向への懸念が和らぐ中、持ち直しへの期待がある一方、ウクライナ情勢による影響も含め、コスト上昇等に対する懸念がみられる。」とまとめられる。
※地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。
2.サプライチェーン関連記事抜粋:令和4年3月1日~3月31日
主題 | 概要 | |
1 | 米シェールガス、増産へ急ピッチ | 工程改善で開発期間短縮 供給網制約:資材(油井管など)調達に影 |
2 | 中国、国際貨物列車を支援:中欧班列 | ユーラシア横断、戦争保険を負担 ロシア経済の支えにも |
3 | 富士通、9割ジョブ型に | 国内外、グループ11万人に拡大 専門人材獲得し易く、来月めど |
4 | ロシア発、建設コスト急騰 | ビル用鋼材:13年ぶり水準 投資延期・工事遅れも |
5 | 送電網整備 先送りのツケ | 東電・東北電管内に逼迫警報 融通、地域の垣根なお |
6 | 新電力:燃料高で逆ザヤ | ホープエナジー破産申請へ 昨年30社以上が撤退 |
7 | トヨタ:工場停止 2万台影響 | 宮城・福島地震、部品調達困難に スバルやダイハツでも;供給網の強化なお途上 |
8 | 地震、生産や物流に支障:宮城・福島震度6強 | 村田製作所:火災、工場を停止 ヤマトHD:荷物配送に遅れ |
9 | 物流まひ ロシア痛撃 | コンテナ海路の大半:欧州で遮断 世界経済にも影響 |
10 | テレワーク定着:都市圏と意識差 | 地方は4ポイント下落 キャッシュレスでも開き |
11 | ウクライナ侵攻:アジア企業に影、事業再考の可能性 | タイ食品:ロシアの畜産買収・打撃 シンガポール・ウィルマ―:油脂2工場停止 |
12 | 日本企業、LNG確保模索:LNGの長期在庫難しく、徐々に気化する | 輸入量、8%がロシア産 販売用の転用、商社・電力検討 |
13 | 月面が生む1兆円市場 | 日本の新興、貨物輸送サービス 30年代後半:水資源開発も |
14 | 希少資源に調達危機 | ロシア・ウクライナ産:7割依存も 半導体ガス一部停止 |
15 | ファイザー、スピード創薬 日本後手、民間頼み限界 | 医療データ解析、治験代替も 電子カルテ争奪戦に |
16 | 欧州ガス、遠い「あと1割」 | 代替調達、北米・アフリカが候補 脱ロシア 4000万トン不足 |
17 | マレリ再建:いばらの道 | 私的整理、車部品の再編加速 合理化やEV対応急務 |
18 | ロシア向け保険:補償外に | 民間契約、企業に負担増 免責適用:政府系は支払い維持 |
19 | トヨタ、サイバー対策甘い系列が被害 | 広がる供給網にリスク 工場停止へ |
20 | 調達網維持へ取引先支援 | コロナ長期化で:日産、人員派遣。ダイハツ、支払い前倒し。日立、戦略在庫増加。 |
21 | 食料安定調達へ協調 | G7農相が臨時会合 穀物相場や国際市場が混乱 |
≪用語解説:記事内の用語と企業、統計を確認しましょう≫
ロシア向け保険 補償外に |
日本企業が加入する民間保険は、工事保険や操業停止による利益の減額分を補償する利益保険などが中心だ。国際連合、欧州連合(EU)、英国、米国による経済制裁は補償対象外と契約で定めており、今回のケースも該当する。経済制裁で工事部品の供給が途絶えてしまい、代わりに調達した部品が原因で建物や設備に損害を与えた場合などでも、企業は保険金を受け取ることができない。東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険の三社は3月1日から、ウクライナ周辺を海上保険料を引き上げる「除外水域」に指定した。英ロイズ保険組合などは2月中旬にウクライナ周辺を「リスクの高い地域」に指定した。割増保険料の国際的な目安が引き上がれば、これに伴って民間の損保会社も保険料を上げる仕組みだ。保険料の高騰は海運会社の負担増になるほか、運搬コスト増から鉱物資源などの原材料価格に跳ね返るリスクがある。原油相場の高騰を背景に、中東を含め原油輸送にからむ保険料も上昇する可能性がある。ロシア国内で事業を展開する日系企業はまずロシアの保険会社と契約する必要がある。その上で国内損保がロシアの保険会社と再保険契約を結び、ロシアの保険会社から「再保険料」という名目で保険料を受け取る仕組みになっている。ロシアの大手銀が国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)から遮断されればロシアの保険会社から再保険料が入らなくなる可能性がある。ズベルバンクなどロシアの大手銀行の口座を通じて再保険料などを入出金しており、SWIFT停止で再保険料が途絶えれば、国内損保の保険提供ができなくなる恐れがある。今後、ロシアの事業リスクが高いとみて、再保険の提供を拒否する可能性もある。 日本企業が関わる事業では、ロシア極東の天然ガス開発事業「サハリン2」などの大型プロジェクトもある。こうした大型の輸出保険は主に政府全額出資の日本貿易保険(NEXI)が引き受けている。NEXIは既存の案件でも通常通り支払うとしており、早期支払いに向けて企業向けの相談窓口を設置した。一方で、民間の損保会社は、リスクが高いロシアでは大型プロジェクトの契約は存在しないと言う。NEXIには、日本企業がロシアとの取引で代金が回収できないリスクに備える貿易保険もある。今回のケースでも補償対象になるが、保険料の負担などを考慮して中小企業などの加入はそれほど多くない。![]() |
400マレリ再建いばらの道 |
自動車部品大手のマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)が1日、私的整理の一つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)制度の利用を申請した。負債総額は1兆円規模に達し、過去最大級となる。マレリの主力部品である自動車ランプはEVでもデザイン設計の中心となる。調査会社のグローバルインフォメーションなどによると、マレリは自動車ランプで10%の世界シェアを持ち、小糸製作所、仏ヴァレオに次ぐ。再建パートナーとして新たな支援企業が決まれば、取引規模を拡大させ、首位も射程に入る。![]() |
戦争保険 war risks insurance |
戦争保険とは戦争危険に対する保険。日本では、古くは太平洋戦争中の戦争保険臨時措置法や戦争死亡傷害保険法などが知られているが、現代では1984年に改訂された船舶戦争保険を指すのが一般的で、戦争その他の変乱、魚雷、機雷、その他の爆発物との接触による損害、爆発、拿捕、抑留、労働争議または政治的要因や社会騒擾等によって船舶に生じた損害を補填する保険を指す。一般的な保険では戦争による損害は免責事項になっており、通常の保険証券とは別の証券で引受けられる。 戦争保険でも国際条約で禁止されている生物兵器や化学兵器による損害や核兵器による損害は免責事項とされている。米国では2002年にテロ・リスク保険法(Terrorism Risk Insurance Act of 2002)が施行され、戦争保険とテロ保険が別になっている場合と同一に含まれている場合がある。ソマリア海賊による被害は戦争保険ではなくテロ保険が適用されることが通例である。 |
00ロシア発、建設コスト急騰 ビル用鋼材13年ぶり水準:設備投資延期や工事遅れも |
世界鉄鋼協会によると2020年に世界の鋼材輸出量の約11%をロシアとウクライナが占めた。ウクライナ東部の製鉄所が操業を止めるなどしたため供給懸念が強まっている。鉄スクラップも需給が逼迫している。 ![]() |
中国、ユーラシア横断の貨物列車に支援:戦争保険を負担 ロシア経済の支えにも |
中国はユーラシア大陸を横断し、ロシアや欧州と結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の支援に乗り出した。約半分は中ロ間の貨物であり、米欧の経済制裁にあえぐロシア経済の下支えにつながる可能性がある。 ![]() |
送電網整備、先送りのツケ 東電・東北電管内に逼迫警報:融通、地域の垣根なお |
東京電力ホールディングス管内と東北電力管内で電力不足に陥る恐れが強まり、政府は初めて「電力需給逼迫警報」を発令した。家庭や企業に節電を呼びかけ、東電管内に数値目標を掲げて協力を求めた。22日の停電は回避できたものの、関西方面から電気を送り不足分を補うなど緊急時に欠かせない広域融通で脆弱さがあらわになった。東日本大震災から11年が過ぎても解決が遠い構造問題が横たわる。 ![]() |
欧州ガス、遠い「あと1割」 |
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、欧州で天然ガス危機への懸念が高まっている。ロシア産ガスの供給が途絶した場合、地理的に近い北米・アフリカから最大限、調達しても消費量の約1割が不足する。 ![]() |