2021年12月報告

3. ユーロ圏景況感指数

IHSマークイットが1日発表した11月のユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は前月から小幅上昇した。ただ、サプライチェーン(供給網)の目詰まりが悪化して生産が抑制され、原材料コストは過去20年余りで最大の上昇となった。供給の混乱や重工業製品を運ぶ大型トラックのドライバー不足で製品は不足、製造業者は原材料確保に奔走した。11月改定値は58.4で、10月の58.3からわずかに上昇。速報値の58.6は下回ったものの、好不況の分かれ目となる50を上回った。生産指数は53.8で10月の53.3から上昇した。IHSマークイットのチーフビジネスエコノミストは、「堅調なPMIの数字からは、今の製造業者の苦境は読み取れない。需要は依然強いが、サプライチェーンは懸念されるスピードで悪化が続いている」と指摘した。原材料は売り手市場で、投入価格指数は過去最高だった前月をわずかに下回る水準だった。一方、製造業者はコスト上昇の顧客への転嫁を進めており、産出価格指数は前月の72.6から過去最高の73.7に上昇した。

※民間企業であるマークイット社が発表するユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)とは,景気転換の先行指標であり,製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとに指数化したもの。数値が前回より上回った場合,対象国の通貨は買われやすくなる。ESI(欧州委員会景況感指数)は企業や消費者のマインドを表し,国内総生産(GDP)と似た動きを示す代表的な景気指標である。同指数は50が活動拡大と縮小の分かれ目。