2025年1月報告

3. ユーロ圏景況感指数

S&Pグローバルがまとめた12月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は49.5と、11月の48.3から上昇した。サービス部門PMIが好不況の分かれ目となる50を上回り、製造業の縮小を相殺した。

キャピタル・エコノミクスは「今回のPMIは経済が縮小していることを示している。コロナ流行以降、PMIはGDP(域内総生産)成長率の目安としてはあまり信頼できるものではなくなっているが、他の証拠も景気低迷を示唆している」と語った。ハンブルク商業銀行のチーフエコノミストは「大方の予想ほど悪い内容ではなかった。サービス部門の活動が再び拡大し、高揚感はないにせよ、9月と10月に見られたような顕著な拡大ペースを示した」と述べた。

サービス部門PMI速報値は49.5から51.4に上昇。ロイターがまとめた市場予想は49.5だった。ただ、サービス部門雇用指数は51.0から50.1に低下。企業は事業活動が直ちに改善するとは予想していないとみられる。製造業PMI速報値は45.2。市場予想の45.3をわずかに下回った。生産指数は45.1から44.5に低下した。

同氏は「製造業の状況は依然としてかなり厳しい。12月の生産減少ペースは今年最大だった。受注も減少した」と述べた。オックスフォード・エコノミクスは「製造業の危機は、ヘッドライン指数が横ばいだったにもかかわらず、生産サブ指数が過去1年間で最低の水準となり、終わりが見えないようだ」と話した。

製造業の新規受注指数は43.4から43.0に低下。近い将来の回復は見込めないとみられる。

ただ、全体では楽観的な見方が増えた。今後の見通しを示す総合指数は56.1から57.8に上昇し、4カ月ぶりの高水準となった。

米国の金融情報サービス大手S&P グローバル(S&P Global Inc.)
米ニューヨーク市に本拠を置く金融サービス企業。S&P グローバル・レーティングやS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスなど、四事業体の親会社にあたる。旧社名はマグロウヒル・ファイナンシャル。S&P グローバルは金融サービス企業であるが、旧社名のマグロウヒルは出版社であり、金融サービス業との関係は、スタンダード&プアーズの買収以降となる。スタンダード&プアーズは、1906年にルーサー・リー・ブレイクが設立したスタンダード統計(Standard Statistics Bureau)と、1860年にヘンリー・ヴァーナム・プアーが創業したプアー出版(H.V. and H.W. Poor Co.)が、1941年に合併して発足した。1966年、マグロウヒルはスタンダード&プアーズを買収し、以降、出版社が金融サービス業を子会社の事業として抱える形態が続いた。1995年に社名をThe McGraw-Hill Companiesに変更。2009年12月にブルームバーグにビジネスウィーク誌を売却した。2013年5月1日に、マグロウヒルはマグロウヒル・ファイナンシャルに社名変更、2016年4月、子会社のJDパワーを売却、またS&P グローバルに社名変更した 。