2024年12月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 48.4%

November 2024 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders Growing and Backlogs Contracting

新規注文増加と受注残減少

  • Production and Employment Contracting

生産・雇用減少

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷加速

  • Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫縮小;顧客在庫過少

  • Prices Increasing; Exports and Imports Contracting

価格上昇;輸出・輸入縮小

【解説】

米サプライマネジメント協会(ISM)が2日発表した11月の米製造業景況感指数は48.4と前月から1.9ポイント上昇し、6月以来5カ月ぶりの高水準となった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予想(47.5)も上回った。トランプ次期政権下で業況が改善することへの期待を映したとの見方がある。

指数は好不況の分かれ目の50を8カ月連続で割り込み、過去2年ほど50を下回る「不況」水準の傾向が続いている。ただ、調査対象の企業からは「選挙結果が決まり、業況が25年に改善することに期待する」(金属加工品)との声が聞かれた。米証券ジェフリーズの米国エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は「トランプ次期政権が打ち出す政策は製造業にとり有益」と分析する。

個別の項目では、新規受注を表す指数が50.4で前月比3.3ポイント上昇した。在庫に関する指数も48.1と5.5ポイント上がった。新規輸出向け受注を表す指数は48.7と3.2ポイント上昇した。

ISMで調査を担ったティモシー・フィオレ委員長は「過去2年間と比べて目立ったのは、業者が新たに在庫に投資する意欲を見せたことだ」と説明した。

雇用の指数は48.1で3.7ポイント上がった。「有能で特化したスキルを持つ人材を確保するための競争が続いている」(コンピューター・電子機器)との声が聞かれた一方、「25年1〜3月期の需要次第でさらなる人材削減が必要か見定める」(機材)と見方が混ざった。

「インフレが需要へ重荷となり続け、消費意欲の減退が受注減につながっている」(食品・飲料・たばこ製品)との声も聞かれた。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品住宅ローン金利の高止まりは、接着剤・シーリング剤の主要市場である新築住宅需要を阻害し続けている。
2Transportation Equipment 輸送機械景気は依然低調で、当社は、2025年上半期も同様と予想し、下半期に需要が増加することを期待している。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草インフレは緩和された後も需要に衝撃を与え続けている。消費者は価値を求めており、多くの買い物客が消費を控えることで購買行動が変化し、数量が軟調に推移している。
4Computer & Electronic Products         コンピュータ・電子製品受注残は1年半の谷間を経て急激に増加し、長く待っていた買い控えが始まっている。有能な技術労働者の獲得競争は、業務処理能力の制約となっている。
5Machinery           一般機械第4四半期の全般的な建設減速が完成品の余剰を生み、クリスマス休暇期間中に2週間の余分な操業停止の必要性を生み出した。当社は、より恒常的な人員削減が必要になるかどうかを判断するため、第1四半期の需要を注意深く見守っている。
6Fabricated Metal Products        金属加工製品顧客の在庫調整と当面の需要の不透明感から、景気は減速している。2025年の事前予想は大幅に減少している。当社は、米国選挙の不確実性を越えた今、改善を期待している。
7Textile Mills      繊維工場当社のサプライヤーは、2025 年の米国経済について前向きな見通しを持っている。当社ビジネスでは、2025年第1四半期の売上予測が2024年第4四半期より上昇基調を見ている。全体的に2025年の見通しは楽観的である。
8Electrical Equipment, Appliances & Components     電気機器・家電・部品当社では、ここ数週間で漸く受注量が増えてきた。受注残が伸び始めている。
9Miscellaneous Manufacturing    その他の製造業当社は、遅ればせながら、中国からの輸入品に対する関税引き上げの可能性を考慮し、現在購買計画に取り組んでいる。米国製造業のコストと生産能力が懸念材料であり、代替の低コスト海外メーカーとの関係不足もまた懸念材料である。
10Primary Metals   一次金属大統領選挙後は、米国に戻って製品を作りたいという顧客が増加している。当社は、これらの問い合わせに対応している。彼ら顧客は、非常に勇気づけられているようだ。