5. 内閣府景気ウォッチャー調査
9月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差1.2ポイント低下の47.8となった。
家計動向関連DIは、飲食関連が上昇したものの、サービス関連等が低下したことから低下した。企業動向関連DIは、製造業が上昇したことから上昇した。雇用関連DIについては、上昇した。
9月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差0.6ポイント低下の49.7となった。
雇用関連DIが上昇したものの、家計動向関連DI及び企業動向関連DIが低下した。
なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差0.7ポイント低下の47.6となり、先行き判断DIは前月に対し横ばいの49.2となった。
今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている。」とまとめられる。
内閣府景気ウォッチャー調査 地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。
2.サプライチェーン関連記事抜粋 :令和6年9月1日~9月30日
主題 概要 1 暑い欧州、空調M&A過熱 独ボッシュ、米キャリア、1兆円超投資 ダイキン、競争激化警戒 2 IBMとGM、中国事業縮小 米の対中投資4割減 景気低迷と対立が背景:供給網依存、脱中国難しく 3 行き場失うゴミ:20年後に処分限界 埋め立て減、焼却灰再生やAI分別で 埋め立て処分場は2046年度に満杯 4 中国DJI 農業ドローン開拓 販売台数5年で15倍 欧米規制強化は懸念 5 北海道、揺らぐ再生エネ供給 さくらネットなどデータセンター整備続々 送電網不足が足かせに 6 伊藤忠が中古航空部品 日本企業の参入相次ぐ 機体不足で保守市場活況 7 水素製造を効率よく 信州大、人工光合成で世界最大規模 水とCO2二酸化炭素原料に 8 中国勢、再エネも上位独占 太陽光・風力:世界で支配力 2023年日経シェア調査 9 インド半導体「元年」商機:セミコン・インディア開幕 日通NXが倉庫運営 TMEICは停電対策 10 イオン、ドラッグ利益6倍 上場50年グループ300社に拡大 PB売上高1兆円 11 JR貨物、不正630両超に 安全確認後、運転は順次再開 管理体制の検証必須 12 企業の在庫、最多水準 安定供給重視が鮮明 製品・原材料、コロナ以降増加 13 低温物流網に大型投資 三井不動産など、倉庫新設に5000億円 運転手不足に対応 14 インテル救済 米官民一丸 国防総省も声明 政府:4200億円の補助金(国家安全保障) アマゾン:AI半導体委託 15 小林製薬、統治見直し 「紅麹」再発防止策 経営執行会議新設;社外取締役も参加 16 自動運転、テスラに負けない 新興ティアフォー(名古屋)、OS開放で自陣営500社 2025年にも公道でレベル4 17 ポケベルが殺傷兵器に イスラエル、遠隔で起爆か 戦闘のあり方一変 18 三菱重工、原発事業200人採用 今期、技能伝承へ専攻学生確保 新増設、事業拡大備え 19 日本製品、軍事転用リスク ヒズボラのトランシーバー爆発 出荷後の追跡は難しく 20 中国車、タイ部品と接近 相次ぐ現地生産契機:日本優位に異変 日経サプライヤーに逆風 ボーイング、ストライキ混乱続く 幹部更迭、長期化に懸念 日本部品メーカーに影響 シマノ、自転車変速機にAI 電動アシストに対抗、市場に新風 日本発の技術、世界に挑む ベトナム半導体 IT大手FPTが先導 内製化で付加価値 脱中国が追い風 電池部材、中国シェア8割超 BTR、モロッコに1000億円新工場 上流も存在感薄い日韓勢 インドネシア大手トリメガ EV電池向けニッケル増産 新製錬所稼働:長期で需要見込む 食品包装に新素材の波 PFAS(有機フッ素化合物) 欧米で規制強まる 王子HD代替品で攻勢 企業間トラック運賃高騰 13%高、運転手不足が深刻 「宅配危機」越え最高値 英、G7初の石炭火力ゼロ 9月30日、最後の発電所停止 3割依存の日本に逆風 セブン買収提案「心配してもね」 生みの親・鈴木敏文に聞く 米社との関係:理想を追求、日本が中心に
≪用語解説:記事内の用語と企業を確認しましょう≫
食品包装に新素材の波 王子HD、代替品で攻勢 PFAS、欧米で規制強まる フライドポテトなどの食品包装のコーティング素材が変わりつつある。有機フッ素化合物(PFAS)が使われてきたが、一部の種類で有害性が懸念され、欧米がより厳しい規制に動く。王子ホールディングス(HD)はPFASフリーの新製品で、2027年度に耐油紙の国内シェアで3割近くを狙う。米マクドナルドは全廃を宣言し、外食などで脱PFASが進む。
シマノ、自転車変速機にAI 電動アシストに対抗、市場に新風 シマノは2025年に自転車の駆動を人工知能(AI)で制御する新しい変速システムを実用化する。乗り手の運転のクセをAIが学び自動でギアチェンジする。シマノはロードバイクなど高級車の変速機で高いシェアを誇ってきた。新システムは買い物など日常使いの車種に供給する。普及が進むE-BIKE(電動アシスト自転車)に対抗して新機軸を打ち出す。
中国車メーカー、タイ部品と接近 アーピコやサミット、BYDに供給 日系サプライヤーに逆風 東南アジアの自動車生産大国であるタイで、地場の部品メーカーと中国の車メーカーが接近している。大手のアーピコ・ハイテックなどが比亜迪(BYD)に主要部品の供給を始めた。中国勢は現地で工場を設け、サプライチェーン(供給網)で存在感を高める。日系サプライヤーは事業の見直しも迫られかねない。
三菱重、原発事業200人採用 新増設、事業拡大備え 今期、技能伝承へ専攻学生確保 三菱重工業は2025年3月期に原子力事業で過去最多となる約200人の採用を計画する。東芝や富士電機も人員を増やす方針。福島第1原子力発電所の事故後、原子力を専攻する学生の減少に歯止めがかからない。国の次期エネルギー基本計画で原発の新増設議論が進み、各社が事業拡大に備え始めるなか、技能伝承に必要な専門人員の確保が優先課題となってきた。
株式会社ティアフォー TIER IV, Inc. 愛知県名古屋市中村区に本社を置く日本のソフトウェア企業。自動運転車用オペレーティング・システムのAutowareや、小型自動運転モビリティの開発を行っている。名古屋大学発のベンチャー企業。2015年、名古屋大学で准教授を務めていた加藤真平が中心となって設立した。当初、加藤は大学で開発していた自動運転ソフトウェアを「他の人にも使ってもらいたい」という程度の気持ちで公開した。すると、他に同様のソフトウェアが存在せず、需要があることが判明したため、「これは大学でやっていてももったいない」として法人の設立に至ったという。自動運転分野の開発はGoogleなどが大きく先行している。そのため、1社で自動運転ソフトウェアを開発しても追いつけないと判断し、オープンソースにより世界中の開発者・企業と共同開発する戦略を採っている。主力製品のAutowareは無償で公開されているが、同製品を使用した実験や開発のコンサルティングにより収益を得るビジネスモデルを採っている。
インテル救済、米官民一丸 政府、4200億円の補助金 アマゾン、AI半導体委託 米国の官民が米インテルの救済に一丸で乗り出した。16日、米政府はインテルに最大30億ドル(約4200億円)の補助金を追加支給し、米アマゾン・ドット・コムは人工知能(AI)向け半導体の生産を委託すると発表した。半導体は安全保障上の重要性が増している。最先端の半導体製造の国産化を背負うインテルに米政府の関与が強まっている。
水素製造を効率よく 信州大、人工光合成で世界最大規模 二酸化炭素(CO2)と水から太陽光の力で、エネルギーや化学原料を作る人工光合成の実用化に向けて、大規模な実証が始まる。信州大学は2025年度、長野県飯田市に従来の30倍で世界最大級の実証施設を作る。脱炭素に役立つ水素を安く大量に生産する技術を開発する。
企業の在庫が最多水準、原料・製品とも 安定供給を重視 企業が製品や原材料の在庫を積み増す動きが顕著になってきた。複数の経済指標で新型コロナウイルス禍以降に在庫量が上昇し、足元は過去最高の水準にある。売上高の拡大を上回る増加ペースからは、不測の事態が起きても安定供給できる体制をめざす在庫戦略の変化が浮かび上がる。
中国勢、太陽光・風力で世界シェア上位を独占 世界シェア調査 中国企業のサプライチェーン(供給網)支配が再生可能エネルギー分野にも広がっている。日本経済新聞が主要な製品・サービスの2023年の世界シェアを調べたところ、中国勢は太陽光パネルや風力発電機の上位を独占するなど21品目でシェアを拡大。米欧は関税引き上げなどで中国製品の過剰生産に警戒を強める。米中の経済対立は再エネ分野でも鮮明になってきた。
伊藤忠商事、中古航空部品に参入 機体不足で市場活況 伊藤忠商事はアイルランド企業に出資し、中古航空機部品事業に参入した。世界的に旅客需要が盛り上がる一方で、機体不足などを背景に航空機のアフターマーケット市場が盛り上がりを見せている。商機があると判断した日本企業の参入が相次いでいる。
IBMとGM、中国事業縮小 米国企業の中国ビジネスが転換点を迎えている。IBMなどIT(情報技術)大手は研究開発体制を縮小し、ゼネラル・モーターズ(GM)など自動車大手も投資を減らす。中国の景気低迷や米中対立の長期化が背景で、米国の2023年の対中直接投資は前年比で約4割減った。一方で供給網の多くを中国に依存しており、「中国離れ」が一筋縄には進まない実態もある。
DJI 大疆創新科技有限公司 : Da-Jiang Innovations Science and Technology Co., Ltd.)中国広東省深圳にある会社で、民生用ドローン(マルチコプター)およびその関連機器の製造会社。2006年、香港科技大学を卒業した汪滔(フランク・ワン・タオ)らによって創業。 2015年1月、アメリカ合衆国のホワイトハウスでDJIのドローンが侵入していたことが話題になり、後に泥酔したシークレットサービス職員によるものとわかり[9]、アメリカのドローン規制に影響を与えた[10]。同年には廉価でカメラジンバルを導入した使い勝手の良さから世界シェアの7割超を占める商用ドローン業界の最大手となっていた。2015年4月、日本の首相官邸無人機落下事件でDJIのドローンが使用された際は皇居周辺と総理大臣官邸をGPSで飛行禁止空域にする対応を行った。同事件を受けてドローン規制法が整備され、警視庁はDJIのドローンを改造してドローンを網で捕獲する無人航空機対処部隊(IDT)を発足させた。2015年7月、日本企業と初の業務提携をプロドローンと交わした。日本では2014年から2015年にかけてDJIはドローン関連技術の特許出願件数を大きく伸ばし、2位のプロドローンを上回っている。 2016年10月、日本初となる正式販売店を新宿に開設した。2017年4月、DJIのドローンが中東のテロ組織ISILに利用されていることを受け、イラクとシリアの紛争地帯をGPSで飛行禁止空域にする措置を行った。DJIの民生用ドローンは安価で手に入ることから中東では非正規武装勢力による爆発物の投下などへ使用されることも多いとされ、また軍用ドローンの先進国であるイスラエルでも正規軍の国防軍はDJIのドローンを大量に導入しており、暴動鎮圧目的での催涙弾の投下にも利用された。2017年8月、アメリカ合衆国陸軍は陸軍内部で最も広く使われていたDJIのドローンの使用をサイバーセキュリティにおける安全保障上の懸念から中止させた。但し、その後も米海軍や米海兵隊、米空軍の使用例も報告されるなど米軍全体での全面禁止には至っていない。また、同年8月にシェアを競ってきた米ドローン最大手、3DロボティクスはDJIのドローンにソフトウェアを提供するパートナーシップを発表した。2020年時点でバード大学の調査によれば公安機関のドローンは90%がDJI製品であり、全米最大の警察組織であるニューヨーク市警察も14機のDJIのドローンを採用するも市の審議会や市民団体からは人権やプライバシーの問題などを懸念され、 ドローンの採用で市民に物議を醸したロサンゼルス市警察でも4機のDJIのドローンを導入してSWATが突入する際に初めて使用した。 2019年1月、調達部門の社員45人が部品の価格を不正操作して巨額の横領に関わったとして10億元(約160億円)規模の損失を計上した。 2019年5月20日、アメリカ国土安全保障省は北米市場で8割のシェアを持つDJIを念頭に中国製ドローンの購入に安全保障上の懸念から注意喚起したのに対してDJIはアメリカ政府と大手企業の第三者機関から安全性の保証を得ているとする声明を発表した。同年7月にアメリカ合衆国内務省は15カ月にわたるセキュリティ審査に合格した政府機関仕様のDJIのドローンを採用するも同年11月にアメリカ合衆国内務長官のデイヴィッド・バーンハートは安全保障上の懸念を解消するまで800機を超えるドローン部隊を地上待機させるよう指示した。 2020年12月18日、アメリカ合衆国商務省産業安全保障局は”「ハイテクによる監視」で大規模な人権侵害に担している企業”としてDJIをエンティティ・リストに加えた。 2022年2月24日に開始されたロシアのウクライナ侵攻では、同社の民生用ドローンが多数投入され、存在感を示した。ウクライナ軍はドローン監視センターを作り、ロシア軍の動きを偵察。ウクライナ政府は軍だけではなく、ドローンを持っている一般市民にも偵察任務に加わるよう呼び掛け、多くの市民が参加した。ドローンに搭載された熱探知カメラが夜間のロシア兵や戦車を監視した。ウクライナ政府によれば、市民の持つドローンの大半は世界の民生用市場の約70%を占める中国のDJI製であるとし、国外からも支援の一環として大量の同社製品が送られたという。しかし、ウクライナ政府は同時にDJIのドローンをロシア軍も使用しているとし、DJIに対し書簡を送りロシアへの販売をやめるよう要請した。 2022年4月26日、ロシアとウクライナでの事業活動を一時停止すると発表した。ウクライナ侵攻において両軍で同社製品が軍事利用されているとの指摘があったことに伴う措置とみられ、同社は「民用ドローン技術の軍事利用には一貫して反対している」としている。
中国バッテリー素材大手:貝特瑞新材料集団(BTR) 中国の世界的バッテリー素材生産大手BTR New Material Group(注1、以下BTR)は2024年3月29日、モロッコ政府との間で投資協定を締結し、リチウムイオン電池用の電極(アノードとカソード)素材生産拠点を建設する計画を明らかにした。年間の最大生産容量は5万トン、投資総額は30億モロッコ・ディルハム(約444億円、MAD、1MAD=約14.8円)、建設場所はスペインに近い国際貿易港タンジェの工業団地エリアであるモハメッド6世・タンジェ・テック・シティ(注2)内で、約2,500人の雇用を創出する予定だ。着工は2024年内とし、2026年9月には第1段階として容量2万5,000トン規模の試験操業を始めるもようだ。締結式には、モロッコ政府からアジズ・アハヌシュ首相ら主要閣僚が出席しており、モロッコ側の熱意が見られた。モロッコ政府は、今回の合意を中国政府の推進する一帯一路構想に沿った両国経済連携の一環であるとする一方、電気自動車やクリーンエネルギーを軸に進行する自動車産業分野の再編において、モロッコの立ち位置を強化するものとしており、アフリカ大陸における自動車生産のリーダーを目指す姿勢を明らかにした。グリーンエネルギー社会の実現を目指すモロッコは、コバルトを産出することから自動車産業分野ではリチウムイオンバッテリー生産への関心が高い。一方、中国企業にとってモロッコは、欧米と自由貿易協定(FTA)を結び、両地域にアクセスの良い地理的ポジションにあることから、当該市場向け製造拠点として魅力的な進出先に見えるようだ。なお、中国のリチウムイオンバッテリー関係では、車載電池大手の国軒高科(Gotion High-Tech)が2023年5月に投資計画を発表している。
インドネシアのニッケル製錬大手、トリメガ・バングン・プルサダ インドネシアのニッケル製錬大手、トリメガ・バングン・プルサダが、電気自動車(EV)向けのニッケル加工品で攻勢に出る。このほど新しい製錬所を稼働させ、生産能力を約2倍に増やした。世界のEV市場の成長は足元で減速するが、中長期の伸びに備え、供給先の開拓も進める。