2023年11月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 46.7%

October 2023 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders and Backlogs Contracting

新規注文と受注残は縮小傾向

  • Employment Contracting; Production Expanding

雇用は縮小;生産は拡大傾向

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速基調

  • Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫は縮小;顧客在庫過少

  • Prices Decreasing; Exports and Imports Contracting

価格は下落基調;輸出・輸入は縮小

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した10月の米製造業景況感指数は前月から2.3ポイント下落し、46.7となった。好不況の分かれ目となる50を12カ月連続で下回り、ダウ・ジョーンズがまとめた市場予想の49.2にも届かなかった。12カ月連続で「不況」を記録するのは21年ぶりだ。新規受注や雇用といった主要指標が落ち込み、製造業の先行きに陰りを見せている。ファクトセットによると、節目の50を12カ月続けて下回るのは2000年8月から02年1月以来となる。落ち込み幅は「ドットコムバブル」の崩壊や米同時テロ直後の当時ほど大きくないものの、より小幅な「不況水準」に長くとどまっている状況だ。項目別には、新規受注が45.5と3.7ポイント下落した。生産も50.4と2.1ポイント下がった。プラスチック・ゴム製品業界からは「一部の業種では受注増加が続くものの、建設業関連の製品や受注は減速している」との声が上がった。雇用環境を映す指数は46.8と4.4ポイント悪化した。PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのシニア・エコノミストは「新規受注などと共に雇用は先行指数であり、今後数カ月の製造業景況感の悪化を示唆している」と話す。

製造業が仕入れなどで負担する支払価格の指数は45.1と1.3ポイント上昇した。ISM調査統括担当委員長ティモシー・フィオレは「調査対象の企業は、プラスチック関連市場を中心に原油価格の上昇が、原材料の仕入れ価格を上げているという」と説明した。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品景気は確実に減速している。2024年第1四半期に関する楽観的な見方は少ない。
2Transportation Equipment 輸送機械受注残は少し減少し始めている。当社は、2024年の発注を削減する話も聞いているが、過去の平均と比較するとまだ非常に堅調である。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草市場はやや減速しているようだ。一部の商品は高止まりしている。
4Computer & Electronic Products         コンピューター・電子製品市場は依然厳しいため当社は、販売とマーケティングにより多くの経営資源を集中させ、当社機器の販売拡大と新市場への浸透を図ってきた。長期的な会社目標も支援すべく、短期的に何ができるかに多くのリーダーシップが集中している。
5Primary Metals   一次金属UAW(全米自動車労組)のストライキが続いているものの、第4四半期以降の受注は堅調で持ち直しの動きが見られる。
6Nonmetallic Mineral Products 非金属鉱物製品商業施設建設は2022年に向けて引き続き進んでいる。当社は、2024年についてインフレやガス・原油価格が建築を減速させる潜在性を懸念している。
7Petroleum & Coal Products 石油・石炭製品原材料/化学品の需要は、第4四半期に向けて安定していると思われる。
8Machinery  一般機械注文予約の減速が見られ、当社の受注残は今年初めの15週間から5日間に減少している。
9Fabricated Metal Products 金属加工製品第4四半期は低調で、当社は明らかに軽い不況にある。しかし、需要の落ち込みは5%未満で、2024年後半に回復すると言う顧客信頼指数は強固である。サプライヤーの納入は安定し、サプライヤーはより多くの仕事を求めているが、その競争のために価格を調整する意欲は未だないようだ。
10Furniture & Related Products 家具・関連製品景気は、まずまずだ。売上も利益率も目標を達成しているが、先行きを推測するのは難しい。
11Plastics & Rubber Products プラスチック・ゴム製品一部の業種で受注増が続いているものの、建設業関連製品・受注は減速している。