2023年7月報告

2.編集後記

日本政府が従来の政府調達の仕組みを改め、スタートアップ企業も参入しやすくするという記事が出た。入札不成立時などに入札を経ず特定の相手と結ぶ随意契約に関し、経済産業省が認めたスタートアップ企業にも契約を呼び掛けるというもので、スタートアップが持つ独自の技術やサービスは行政の業務効率の改善に生かせる余地があると判断した、とある。

経産省のサイトでは、『日本には約1万社のスタートアップが日々新しい挑戦をしているが、グローバルに活躍する企業はまだ一部。革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供するスタートアップを創出するため、「J-Startup」プログラムが2018年6月に立ち上がった。

この「J-Startup」プログラムは、経済産業省・日本貿易振興機構(JETRO)・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事務局となり、プログラムの運営を行い、これまでに海外・国内大規模イベントへの出展支援、海外現地支援、研究開発支援、規制改革対応、入札機会拡大、民間企業「J-Startup Supporters」との連携支援などの取組を行ってきた。50社のスタートアップをJ-Startup企業として選定し、今後とも、スタートアップの成功モデル創出に向けて支援を実施していく。』

一方で、他国を見ると、フランスがデジタルトランスフォーメーション(DX)を強みとするスタートアップの育成で成果を出しているという記事があった。10年の節目を迎える振興策「フレンチテック」が世界企業との取引やリスクマネーの供給を促す。倉庫ロボット開発など、未上場で企業価値が10億ドル(約1400億円)以上のユニコーンは25社と日本の4倍に育った。外国からの投資は欧州首位に浮上し、既存ビジネスの壁を壊す企業を生み、産業構造も変えつつある。国を挙げてイノベーションや技術革新創成に精を出しているが、それには多様な専門職人材を採用し適材適所に配置することが求められる。特に、日本企業の海外事業では現地で適切な人材を確保するのが国内ほど容易でないため育成するという社風が重要である。サプライチェーンが多様化しているため多様なエキスパートが適切に役割を発揮できる環境整備が求められる。サプライチェーンの最上流にあるソーシング活動は、公開されてなければ意味がなく閉鎖空間ではイノベーションが限られる。元来、社内のイノベーションが尊重されてきたがグローバル社会では社内、国外の情報収集が基本となる。これまで新興企業やスタートアップ、多様性企業にはチャンスが少なかったのは、特に伝統的な大企業での規準、例えば実績主義、企業規模、伝統主義などが災いし、新規提案さえも受け付けられなかった。一方で、買手の企業も付加価値の低い日常業務に忙殺され社外からの提案や申し出を吟味する余裕さえなかった。アセアン諸国内では日本企業が全て多様性サプライヤー且つ多様性購買企業となることを決して忘れるでべきでない。

以下余白

月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA 特定非営利活動法人