2022年11月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 50.2%

October 2022 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders Contracting

新規注文は縮小傾向

  • Production Growing; Backlogs Contracting

生産増加;受注残は縮小基調

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速基調

  • Raw Materials Inventories Growing; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫は増加;顧客在庫過少

  • Prices Decreasing; Exports Contracting; Imports Growing

価格は下落基調;輸出は縮小、輸入は増加

【解説】米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した10月の米製造業景況感指数は50.2となり、前月から0.7ポイント低下した。2カ月連続の低下となり、経済活動の拡大・縮小の境目である50に迫った。新規受注はさえない状況が続き、需要の弱さを映す結果となった。項目別の指数で見ると、新規受注は49.2と前月から2.1ポイント上昇したものの、節目の50を2カ月連続で下回った。とりわけ外国向けの新規受注は鈍かった。英キャピタル・エコノミクスは「ドル高の影響が米製造業に及んできた」と指摘する。ドル高に伴い現地通貨に換算すると米国製品の割高感が強まった。受注残の指数は45.3と同5.6ポイント低下し、2020年6月以来2年4カ月ぶりに50を割り込んだ。在庫は52.5と前月比では3.0ポイント低下した。高インフレの要因となっていたサプライチェーンの目詰まりの解消は進んでいる。サプライヤーの納期に関する指数は46.8と前月比5.6ポイント低下。全体の指数を押し下げた。投入価格指数も2年5カ月ぶりに50を下回った。米パンテオン・マクロエコノミクスは「サプライチェーンの改善は徐々に消費者物価に波及していく」と説明し、金融市場や米連邦準備理事会(FRB)の想定よりも早期にインフレ圧力が緩和していくとの見通しを示した。FRBは1~2日の日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。市場は0.75%の利上げが既定路線とみている。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品顧客が一部の注文を解約している。完成品の在庫が増え、一部の顧客は商品価格が更に下がるのを待っているため、幾らかの反発が予想される。
2Transportation Equipment 輸送機械労働力と部品出荷の課題は緩和されている。前月内の需要が滞った後、注文規模は鈍化している。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草景気後退の脅威が高まる中、多くの顧客注文が著しく遅れている。加えて、ロシアとウクライナの戦争にまつわる世界的な不確実性が、世界の商品市場に影響を与えている。
4Machinery 一般機械当社は、顧客からの利用可能な資本予算の一般的な引き下げを見てきた。それが第 4 四半期の売上に大きな衝撃を与えている。
5Computer & Electronic Products         コンピューター・電子製品平坦な事業活動;電子機器市場の挑戦が続く。  
6Miscellaneous Manufacturing その他の製造価格は、僅かな下落を続けており、サプライヤーは減少を食い止めようとするが、競争は激化している。
7Nonmetallic Mineral Products 非金属鉱物製品国際情勢は大きく不気味に現れ、非常に不吉に悪い前兆に思える。全体として、当社は、2023年が前向きな年になり、少なくともある程度の緩やかな成長になると考えている。
8Plastics & Rubber Products  プラスチック・ゴム製品リードタイムは改善しており、プラスチックの価格が下がっている。
9Fabricated Metal Products 加工金属製品顧客需要は 2 か月間低迷している。生産は当社在庫を減らし、当社は、慎重に予測を実施している。逆風が非常に強いように見え、当社は、それに備える必要がある。
10Electrical Equipment, Appliances & Components 電気機器・器具・部品住宅市場が低迷しているため、当社の景気は影響を受けている。消費材と電化製品の注文が増えているため、過去二年で能力が増加した。現在、当社は、全ての生産能力を使えるところまで注文を増やすべく販促を試みている。